CEガッチと愉快な仲間たち

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某病院で臨床工学技士として働くガッチの疑問と私見

”血液透析” 限外濾過について

こんにちは、CE ガッチです。

 

最近は新型~の影響で各種セミナーや学会が軒並み延期や中止を余儀なくされています。

世の中のことを考えるとしょうがないことなのですが、今年は多くの学会に参加してご当地グルメを楽しんで……ではなく、多くの視点を学びに行こうとしていただけに悔しいです。

早く以前のように、気軽にセミナーや学会に参加できるようになることを願っております。

 という事で、前回は血液透析の代表的な原理である「分子拡散」について、自分の再確認を含め書かせていただきました。

まだ読んでいない方は、下記から読んでみてください。

 

ce-gacchi.hatenablog.com

 

 本日はもう一つの重大な原理である「限外濾過」について書いていきたいと思います。

「限外濾過」に関しては、まず「濾過」を理解することから始めたいと思います。

 

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引用:東京大学医学部付属病院 血液浄化療法部

 

 

濾過について

 

濾過とは

液体又は気体に固体が混ざっている混合物を、細かい穴がたくさん開いた多孔質(ろ材)に通して、穴よりも大きな固体の粒子を液体又は気体から分離する操作である

ろ過 - Wikipedia

 

という事になります。

硬い文章になってしまいますので、簡単に言うと、

ある物質とある物質を(液体や気体、固体)を、細かい穴の開いたものを通して分けるという事です。

そして、濾過は圧力を推進力として働きます。

 

濾過は日常的にいろいろな場面に潜んでいます。

浄水器もその一つで、活性炭等の”ろ材”を使用しながら”塩素”や”カルキ臭”等を分離しています。

コーヒーを入れるコーヒーフィルターや、今や品薄で探している方も多いマスクも濾過の原理を使用して分離を行っています。

 

大雑把ではありますが、上記で大まかに濾過というものをおわかりいただけたかと思います。

それでは次に濾過の分類に行きたいと思います。

 

濾過の分類(孔径による)

濾過には、使用するろ材の孔の大きさにより4種類に分かれます。

 

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濾過の分類

 濾過はこのように分類され、それぞれが役割をもって使用されています。

血液透析の現場で言えば、

粗濾過はRO装置における前処理装置のプレフィルターに、

精密濾過はアフェレシス領域での血漿分離膜に、

逆浸透はそのままRO装置での透析用水の作製に使用されています。

そして、血液透析でのダイアライザー等のフィルターで「限外濾過」が使用されています。

 

血液透析での限外濾過

血液透析での限外濾過には、下記に記載する2種類の作用に関連します。

 

物質除去

 

血液透析での限外濾過はダイアライザーやヘモダイヤフィルターを介して行われます。

上記にて、濾過には多孔質のろ材が必要であると記載しました。

内部にある中空糸がろ材であり、前項で書かせていただいた「半透膜」がそれに該当します。

つまり中空糸型フィルターを使用した血液透析では、

中空糸1本1本を使用し血液側から透析液側へ「限外濾過」を使用して不要物の除去を行い、それと同時に「分子拡散」によっても除去を行っています。

上記の作用により、幅広い分子量の除去を可能にしているわけです。

 

また、これらを除去できるかできないかの分子量の境目を分画といいます

そして、中空糸の素材により、この分画がどちらかというとはっきりしているものと少し幅を持ったものがあり、前者を「シャープな分画」、後者を「ブロードな分画」という表現をすることがあります。

 

除水

 

限外濾過では、不要物の除去を行うと同時に身体に溜まってしまった水分も一緒に除去をします。これが「除水」となります。

濾過は圧力を推進力とすると記載しましたが、この圧力を発生させているのが透析監視装置の内部にある除水機構です。

 

血液透析では、除水機構によって内部の圧力を制御、除水量を決定して除水を行っています。

 

まとめ

本日は、透析での大切な原理である「限外濾過」に関して書かせていただきました。

詳細まで書くと内容の整理が難しくなってしまうので、基本的な部分を中心に書きましたが、そのうち詳細な部分(マニアックな部分)の記事も書いてみたいなと思います。

それらを考える為にも、今回の記事は大切な第一歩になると思います。

正直に「限外濾過」は奥が深いです。膜素材や膜孔径、圧力、膜劣化関連等の複合要素で治療が成り立っています。自分のわかる範囲で今後も気になった際は記事にさせてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

CE ガッチ

 

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